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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻2号

1994年02月発行

文献概要

今月の主題 胃良・悪性境界病変の生検診断と治療方針 主題

胃良・悪性境界領域病変の臨床経過と治療方針の選択

著者: 近藤仁1 斉藤大三1 山口肇1 白尾国昭1 渡辺裕喜雄1 石堂達也1 吉田茂昭2 落合淳志3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内科 2国立がんセンター東病院内視鏡科 3国立がんセンター研究所病理

ページ範囲:P.197 - P.204

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要旨 当院で1962年から1993年までに得られた胃腺腫(GroupⅢ病変を含む)890病変を対象とし,これらのmalignant potential,治療方針の選択などについて検討を試みた.胃腺腫切除例における癌合併率は腺腫内で15%,胃内他部位で16%に認められており,約30%が何らかの形で癌と共存していた.また,これらの内視鏡所見を検討すると,既に高危険群の特徴像として報告した発赤調を示すもの(52%),2cm以上のもの(44%),陥凹を伴うⅡa+Ⅱc様のもの(55%),胃炎類似型に相当するもの(39%)では,いずれも癌の同部位合併率が高かった.更に,内視鏡的かつ生検組織学的に3年以上の経過観察を行いえたGroupⅢ病変(77病変)を検討すると,男性の病変,大きさが2cmを超える病変,組織学的な画像計測で腺管の大小不同指数が高値を示す病変では,将来大きさが増す可能性が高いことが明らかとなった.以上の成績から,内視鏡的に完全切除が可能な大きさで,病変が高危険群あるいは増大する可能性の高い所見を示す場合は,積極的に内視鏡的切除の適応にすべきと考えられた.また,完全切除が困難な場合は,丹念な生検を行いつつ経過観察を行わざるをえないが,その際は,他部位の癌を見落とさない注意が必要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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