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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻2号

1994年02月発行

文献概要

今月の主題 胃良・悪性境界病変の生検診断と治療方針 主題症例

吐下血で発症し経過観察中生検陰性であった噴門部sm癌の1例

著者: 夏越祥次1 富岡孝允2 石神純也1 才原哲史1 愛甲孝1 西俣寛人3 有馬暉勝3 美園俊明4 山口淳正4

所属機関: 1鹿児島大学医学部第1外科 2富岡病院 3鹿児島大学医学部第2内科 4鹿児島市医師会病院内科

ページ範囲:P.233 - P.237

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要旨 患者は65歳,男性.2年前から脳梗塞のために抗凝固剤を服用中であった.吐下血が出現し初回の内視鏡検査で噴門部小彎後壁に出血性胃潰瘍が認められ,内視鏡的止血術が施行された.その後6回の内視鏡検査と3回の生検が行われたが,組織学的には悪性所見は認められなかった.経時的な内視鏡検査による観察で不整な潰瘍がみられ,X線所見と合わせて悪性と診断し噴門部胃切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検索の結果,Ul-Ⅱsの後壁側に1.0×0.8cmの高分化型腺癌が認められ,深達度smのⅡc型早期胃癌と診断された.生検組織診断が陰性であっても,十分な経過観察とX線・内視鏡検査による綿密な観察が重要であることが示唆された噴門部早期胃癌の1例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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