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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻3号

1994年02月発行

文献概要

特集 早期大腸癌1994 ノート

早期大腸癌と分子生物学

著者: 渡辺英伸1 味岡洋一1 小林正明1 人見次郎1 本山悌一1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.171 - P.180

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大腸上皮性腫瘍の形態学的発生・進展と分子生物学(歴史的背景)

 癌の形態学的発生・進展と分子生物学的異常(がん遺伝子;oncogenesとがん抑制遺伝子;tumor suppressor genes)との相関が,1988年に初めてVogelsteinら1)によって大腸癌で明らかにされた.同様の検討が1990年Miyakiら2)によっても発表され,1991年には第5染色体短腕に存在する大腸腺腫の新しい原因遺伝子apcがNishishoら3)によって単離された.更に,de novo(ab initio)癌はapcとp53のがん抑制遺伝子変異で発生し,がん遺伝子K-ras変異を必要としないらしいことが明らかとなってきた4)

 大腸上皮性腫瘍が発生・進展するにつれて,“がん抑制遺伝子”の対立遺伝子欠失ないしヘテロ接合性消失(LOH;loss of heterozygosity)とp53遺伝子変異がどのように変化するかをまとめたのがTable 1である.Chl7pのLOHが低異型度腺腫で2~6%に,高異型度腺腫で2~24%にみられ,粘膜内癌で33~38%に,進行癌で29~75%にみられている.Ch18qのLOHは低異型度腺腫で既に2~12%,高異型度腺腫で4~47%,粘膜内癌で7%,進行癌では28~73%と高い.Ch22qのLOHも腺腫で既に2~4%みられるが,進行癌では26~42%と高率となっている.進行癌でのLOHの頻度をみると,利谷ら5)のものだけが他の研究者のものに比べて低い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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