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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻4号

1994年03月発行

文献概要

今月の主題 食道粘膜癌―新しい病型分類とその診断 主題

食道粘膜癌の病型分類と深達度―病理の立場から

著者: 大倉康男1 西澤護1 細井董三2

所属機関: 1東京都がん検診センター 2多摩がん検診センター

ページ範囲:P.263 - P.271

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要旨 食道粘膜癌108例について,新たに提案された深達度亜分類を用いて病理組織学的検討を加えた.粘膜癌の深達度亜分類の定義は,以下の通りである.m1:上皮内癌および,上皮内癌かわずかに粘膜固有層に浸潤した癌か区別のつきにくいもの.m2:m1,m3以外.m3:癌浸潤巣が粘膜筋板に極めて近接したり,あるいは浸潤するもの.粘膜癌の肉眼型はすべて0-Ⅱ型で表され,微小癌を除くと,単純型の割合が74%,0-Ⅱc型が71%であり,0-Ⅱc型を主体とする病変はおよそ91%である.0-Ⅱc型は深達度が深くなると,0-Ⅱa型の要素が加わるものがみられる.0-Ⅱa型,0-Ⅱb型はほとんどが深達度m2までの比較的浅い癌である.今回の検討では,粘膜癌にはリンパ節転移,静脈侵襲はみられなかったが,リンパ管侵襲はm2で3%,m3で27%にみられた.組織学的異型度は,深達度が深くなるにつれて異型の強くなる傾向がみられた.深達度亜分類を用いることにより,粘膜癌の多くの臨床病理学的事項は集約されると言える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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