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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻4号

1994年03月発行

文献概要

今月の主題 食道粘膜癌―新しい病型分類とその診断 主題

食道粘膜癌の内視鏡診断―深達度亜分類を用いた深達度診断の検討

著者: 門馬久美子1 吉田操2 山田義也1 菅知也1 榊信廣1 田島強3 岩崎善毅2 葉梨智子2 川村徹4 小池盛雄4

所属機関: 1東京都立駒込病院内科 2東京都立駒込病院外科 3東京都立駒込病院内視鏡科 4東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.327 - P.340

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要旨  食道粘膜癌の深達度診断は,治療法を選択する上で重要であり,現時点の目標は,局所治療で根治可能な粘膜固有層内に止まるm1~m2癌と外科治療が必要なm3癌の鑑別である.食道表在癌132例を内視鏡病型から,隆起型0-Ⅰ(33),軽度隆起型0-Ⅱa(16),平坦型0-Ⅱb(15),軽度陥凹型0-Ⅱc(56),陥凹型0-Ⅲ(12)に分類した.0-Ⅰ型の97.0%(32/33)はsm2以上,0-Ⅲ型の66.7%(8/12)はsm3であるのに対し,0-Ⅱ型の83.9%(73/87)はmで,Ⅱcの23.2%(13/56)にsm癌が含まれていた.Ⅱbの深達度はすべてm1であった.Ⅱaの93.8%(15/16)はm1~m3で,深達度診断は隆起の高さと表面性状で行えた.Ⅱcの深達度はm1~smまであり,陥凹の深さや陥凹底および陥凹周囲の性状による深達度診断の正診率は,Ⅱc(m1)86.4%,Ⅱc(m2)71.4%,Ⅱc(m3)71.4%,治療法選択の観点からm1~m2とm3の鑑別正診率は93%であった.食道表在癌の深達度診断は,色素内視鏡を併用しても90%に満たない.これは,食道壁の構造を破壊せずに浸潤したり,食道の正常構造を伝わって浸潤する病変を浅く診断し,固有筋層に対し圧排性に発育したり,癌の浸潤に高度の線維化を伴う病変を深く診断するためである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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