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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻5号

1994年04月発行

今月の主題 大腸Crohn病―非定型例の診断を中心に

主題

大腸Crohn病の臨床―縦走潰瘍,敷石像を欠く症例の診断―X線診断を中心に

著者: 大井秀久1 西俣嘉人1 寺田芳一1 島岡俊治1 仁王辰幸1 南寛之1 小田代一昭1 仲淳一郎1 武三津彦1 中村勇一1 西俣寛人1 有馬暉勝1

所属機関: 1鹿児島大学医学部第2内科

ページ範囲:P.385 - P.399

文献概要

要旨 経過観察しえたCrohn病(以下CD)の大腸にみられる画像所見を整理し,縦走潰瘍や敷石像を欠いた症例のX線診断について検討した.当施設で診断されたCD129例中で画像を十分に検討しうる症例50例(小腸型10例,小腸大腸型30例,大腸型10例)を対象とした.非定型例は全例小腸大腸型で10例だった.画像所見を部位ごとに検討すると上行結腸には,敷石像が多く,肝彎曲,横行結腸,下行結腸には縦走潰瘍が,S状結腸には不整形潰瘍が多かった.アフタ様病変,点状のバリウム陰影(以下BaF),小透亮像(以下FG)はS状結腸を中心とした左半結腸に多かった.敷石像を認める部位は経過中80%が手術された.縦走潰瘍は瘢痕化するもの,再燃・緩解を繰り返すものそれぞれ40%だった.縦走潰瘍,敷石像を認める以前にみられた画像はアフタ様病変のほか,BaF,FGもあり,11例は異常所見のない部位からも生じていた.非定型例では定型例に比べ,全部位でアフタ様病変,BaF,FGが多く,特に下行結腸で出現率が高かった.非定型例10例の中で5例に経過中縦走潰瘍や敷石像を生じた.縦走潰瘍や敷石像のみられた部位には縦軸要素(longitudinal involvement)を示唆する変形が長期間残ることが多く,非定型例の診断にはそれらの変形を参考にして縦軸要素を診断することが重要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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