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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻5号

1994年04月発行

今月の主題 大腸Crohn病―非定型例の診断を中心に

主題

非定型大腸Crohn病―5例の呈示とその診断における問題点

著者: 八尾建史1 古川敬一1 八尾恒良1 松井敏幸1 櫻井俊弘1 岩下明徳2 岡田光男3 瀬尾充3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理医学部 3福岡大学第1内科

ページ範囲:P.411 - P.425

文献概要

要旨 過去8年7か月間に福岡大学筑紫病院で診断された大腸Crohn病の中で,X線・内視鏡上,アフタ様病変のみから成る例を除き,縦走潰瘍・敷石像を認めない例,潰瘍性大腸炎との鑑別が困難であった例を非典型例とし,その頻度,診断上の問題点を明らかにした.当科の非定型例は3例で全Crohn病患者,大腸Crohn病患者の中に占める割合は,それぞれ1.6%(3/187例),15%(3/20例)であった.更に福岡大学第1内科の非定型例2例を加え計5例を詳細に呈示し検討した.非典型例の臨床的特徴は発症が比較的急激で,5例中4例が下痢・血便を初発症状としており,5例中4例が直腸から連続して病変を認めたことであった.上記所見に加え,再検討により内視鏡上,部分的に介在正常粘膜を伴うアフタ様病変(4/5例)およびX線上縦走潰瘍瘢痕(1/5例)の見落としが明らかになり,病理学的には,手術標本の切り出し不足(2/5例)が,確定診断を迷わせた主な診断上の問題点と思われた.今回の検討に,欧米で報告されている“indeterminate colitis”に重点を置いて文献的考察を加えると,病理材料の検索不足により“indeterminate colitis”に当てはまる例は,十分起こりうることが考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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