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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻6号

1994年05月発行

今月の主題 アフタ様病変のみのCrohn病

主題

アフタ様病変のみのCrohn病―典型的Crohn病との差異とその経過

著者: 八尾恒良1 桜井俊弘1 松井敏幸1 瀬尾充2 前田和弘2 岡田光男2 檜沢一興3 青柳邦彦3 飯田三雄4 岩下明徳5

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学医学部第1内科 3九州大学医学部第2内科 4川崎医科大学内科学消化器Ⅱ 5福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.507 - P.519

文献概要

要旨 アフタ様病変のみから成るCrohn病21例(以下,A型Crohn病)と典型的Crohn病(以下,O型Crohn病)166例を比較した.(1)男女比はA型で有意に高く,腹痛,下痢,発熱,体重減少は有意に少なかった.肛門症状のみを訴えた7例があった.また,A型では活動指数は低く,栄養状態は良好,炎症所見は有意に低値であった.以上の成績から,A型Crohn病はO型Crohn病の初期病変と考えられ,その発見には肛門症状を訴える若年者に大腸内視鏡検査を施行することが重要と思われた.(2)A型Crohn病の病変は食道14%,胃・十二指腸各95%,小腸86%,大腸100%の頻度でみられた.大腸でアフタが縦列したものは1/5以下であった.初回生検は胃,十二指腸から平均7個,大腸から20個採取され,15例(71%)に肉芽腫が認められた.(3)栄養療法で病変はすべて消失,消褪,改善した.しかしすぐに再燃し,長期的には増悪するものが多かった.O型Crohn病進展例は6例(経過期間約2~4年).長期消失・消褪例3例(4~6年)で,前者に濃厚な治療が施行されていた.以上のことから,A型Crohn病の中にも種々の病態のものが含まれていると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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