今月の主題 アフタ様病変のみのCrohn病
主題症例
肛門周囲膿瘍を伴う腸管アフタ様病変から3年後終末回腸に典型的な縦走潰瘍と狭窄像を呈したCrohn病の1例
著者:
本間照1
林俊一2
味岡洋一3
小林正明3
佐藤玲子2
吉田鉄郎2
吉田英毅1
鈴木裕1
塚田芳久1
成澤林太郎1
朝倉均1
山口正康4
所属機関:
1新潟大学医学部第3内科
2誠心会吉田病院
3新潟大学医学部第1病理
4厚生連豊栄病院
ページ範囲:P.534 - P.540
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要旨 患者は18歳,女性.肛門周囲痛,臍周囲痛,水様下痢,発熱を主訴に来院.肛門周囲膿瘍と血液検査上高度の炎症所見を認め,Crohn病を疑い消化管を検索したところ,胃前庭部に小びらん,終末回腸に小結節状隆起の多発集簇像,全大腸に散在性にアフタ様病変を認めた.大腸アフタ様病変からの生検組織に非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認めたためCrohn病と診断し,salazosulfapyridine (SASP)投与で経過観察していたところ,3年後に終末回腸に典型的な縦走潰瘍が発生した.肛門部病変を伴う腸管のアフタ様病変で発症し,典型例へと進展したと考えられるCrohn病の1例を報告する.