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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻6号

1994年05月発行

今月の主題 アフタ様病変のみのCrohn病

主題症例

アフタ様病変のみで発症し4年6か月間経過をみたCrohn病の1例

著者: 中野浩1 八木伸郎1 外間政希1 野村知抄1 加藤真二1 保原怜子1 大橋秀徳1 高濱和也1 渡辺真1 伊藤圓1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科

ページ範囲:P.575 - P.582

文献概要

要旨 51歳,女性.咽頭痛,発熱,下痢で発症.裂肛を認めた.入院時検査で異常値を示したものは白血球増多(13,200/μl),貧血(Hb9.1g/dl),低アルブミン血症(2.7g/dl),CRP(3+),血沈亢進(50mm/1時間)であった.初回の注腸X線検査で直腸,盲腸を除く大腸に無数のアフタ様病変を認め,小腸X線検査でも回腸にアフタ様潰瘍を認めた.大腸内視鏡検査でもアフタ様病変を認め,S状結腸からの生検標本内に非乾酪性類上皮性肉芽腫を認めた.成分栄養療法を開始し,副腎皮質ホルモン,salazosulfapyridine投与で臨床症状は速やかに消失し,検査所見も改善した.初回検査から9週間後のX線像では,大腸粘膜面に粘膜ひだ集中と炎症性ポリープを認め,治癒像を示した.その8か月後のX線像ではリンパ濾胞の増悪がみられ,更に2年後のX線像ではリンパ濾胞増悪の所見が存続した.そして,その1年7か月後,初回から4年6か月後の注腸X線像ではアフタ様潰瘍の再発を認めた.また,小腸に短い縦走潰瘍,偏側性の壁変化から成るCrohn病の特徴的所見が認められた.この症例をはじめ,報告された同様の症例のX線所見をみると,緩解したCrohn病の再燃の前ぶれとしてアフタ様潰瘍が再発している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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