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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻6号

1994年05月発行

文献概要

今月の主題 アフタ様病変のみのCrohn病 主題症例

一過性に非乾酪性肉芽腫が確認されたリンパ濾胞過形成を伴う“アフタ様大腸炎”の1例

著者: 芹澤宏12 日比紀文1 高石官均1 杉野吉則3 土屋雅春1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科 2北里研究所病院内科 3慶應義塾大学医学部放射線科

ページ範囲:P.583 - P.588

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要旨 患者は32歳,男性.19歳ごろに内痔核の既往がある.25歳ごろから断続的な下痢,下腹部痛が出現.27歳初診時,炎症反応はみられなかったが,注腸X線検査で大腸全体に径2~4mmの透亮像が散在してみられ,大腸内視鏡検査では大腸全体および終末回腸に周囲に紅暈を伴う小アフタ様病変が多発し,一部びらん形成がみられた.病理組織学的に,炎症細胞浸潤と共に類上皮細胞から成る非乾酪性肉芽腫が確認された.整腸剤内服のみで経過観察したところ,10か月後にはびらんは消失し,アフタは減少,18か月後にはアフタも消失し,その後約3年間同様である.拡大内視鏡観察ではpit patternは保たれ,点在する微小隆起は組織学的にリンパ濾胞過形成を伴う慢性炎症像であった.本例はCrohn病との異同が問題となるが,確定診断には更なる経過観察ならびに症例の蓄積が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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