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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻7号

1994年06月発行

今月の主題 多発胃癌

主題

多発胃癌―病理学的立場から

著者: 三上哲夫1 滝澤登一郎1 猪狩亨1 比島恒和1 川村徹1 鄭子文1 迫間隆昭1 芦川敏久1 船田信顕1 小池盛雄1 深山正久2

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科 2関東逓信病院病理

ページ範囲:P.627 - P.632

文献概要

要旨 1986年から1991年の6年間に外科的に切除された胃癌症例1,159例のうち,胃癌の多発を266例(23.0%)に認めた.肉眼的に病変を同定できた例に限ると203例(17.5%)であった.多発例の平均年齢は単発の症例に対して有意に高く,男性に多い傾向がみられた.肉眼的に2つの癌を認めた130例においては粘膜内癌同士(31.5%),あるいは進行癌と粘膜内癌の組み合わせが多く(30.8%),進行癌同士の組み合わせはまれ(1.5%)であった.組織型の組み合わせでは,副癌巣は高分化型腺癌が多かった.術前には副癌巣は61例で見逃されていた.肉眼的に所見を認めず組織学的に副癌巣を認めた症例が1,159例中66例(5.7%)みられた.高分化型腺癌の多発する胃の背景粘膜には不規則な枝分かれ,拡張を示す腸上皮化生巣が認められた.胃癌の多発の頻度は高く,X線診断医,内視鏡医,病理医とも副癌巣を見つける努力が必要である.組織学的な副癌巣の存在は内視鏡的治療後の経過観察の必要性を示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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