今月の主題 多発胃癌
主題
多発胃癌―X線診断の立場から―特に微小癌を除く副病変の術前診断の検討
著者:
美園俊明12
西俣寛人2
掘雅英3
西俣嘉人2
尾辻章宣4
中村勇一2
野口昌宏2
尾辻真人2
大井秀久2
新原亨2
徳重浩一2
児島豊史2
徳田雅代2
有馬暉勝2
末永豊邦5
所属機関:
1鹿児島市医師会病院消化器内科
2鹿児島大学医学部第2内科
3今村病院消化器内科
4尾辻外科病院
5南風病院外科
ページ範囲:P.643 - P.655
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要旨 切除胃癌1,603例の全割による組織検査の結果,247例の多発癌を検索しえた.このうち最大径6mm以上の副病変を対象にX線学的検討を行い,更に肉眼診断,肉眼型,組織型,深達度,発生部位や癌の大きさを対比し下記の結果を得た.多発癌の頻度は15.4%で,早期癌で18.0%,進行癌で12.1%であった.術前X線診断で確診できた病変は34.9%で,存在を指摘できなかった病変は49.6%であった.見直し診断では診断率が向上したが,やはり27.2%は存在診断ができなかった.術前に診断できない病変は平坦型や浅い陥凹型の粘膜内癌が多く,特に未分化型に多かった.発生部位では,ほぼ全領域に分布していたが,前壁,大彎,前庭部の診断率が低かった.