今月の主題 胆管癌の画像と病理
主題
胆道癌取扱い規約からみた胆管癌の病理と悪性度
著者:
粕谷和彦1
渡辺英伸1
味岡洋一1
吉田光宏1
糸井隆夫1
人見次郎1
所属機関:
1新潟大学医学部第1病理
ページ範囲:P.751 - P.759
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要旨 胆管癌160症例,162病変の肉眼型と組織学的予後因子(ly,v,pn,n,s,hw,dwとKi-67免疫染色による細胞増殖能)との相関,および癌の細胞異型度とp53蛋白過剰発現について検討した.早期癌(n=9)では,ly1が1例11%にみられたのみで,v,pn,nはすべて陰性であった.進行癌(n=153)では,lyが75%,vが44%,pnが84%,n(n=137)が40%にみられた.これら組織学的予後因子と肉眼型との間に,相関はなかった.漿膜面癌露出は,全例浸潤型癌でみられた.びまん浸潤型は上部胆管に,その他の肉眼型は中下部に多く,上中下部にまたがる広範囲癌は,浸潤型癌に多かった.乳頭限局型・結節限局型・乳頭浸潤型・結節浸潤型の癌では,びまん浸潤型癌に比べて,癌先進部深達度がmである頻度が高かった.びまん浸潤型では,同深達度がssであることが多く,m癌先進部との差は,肝側で平均13.8mm,十二指腸側で8.3mmであった.Ki-67陽性率は,肉眼型,組織型,浸潤とは特に関係なかったが,細胞異型度と相関し,高・低異型度癌の間で有意差を認めた(p<0.05).p53蛋白過剰発現は胆管癌の58.0%(29/50)にみられたが,細胞異型度と組織型と関係なく,予後因子としてよりむしろ診断基準に有用と考えられた.