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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻8号

1994年07月発行

文献概要

今月の主題 胆管癌の画像と病理 主題症例

無黄疸で発症し洗浄細胞診で診断された早期胆管癌の1例

著者: 玉榮剛1 中尾哲二1 木下壽文1 柴田順二1 土橋清高1 久原敏夫2 中山和道1

所属機関: 1久留米大学医学部第2外科 2国立療養所武雄病院外科

ページ範囲:P.837 - P.840

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要旨 71歳,男性.上腹部不快感を訴えたため腹部超音波検査を施行し,軽度の胆管拡張を認めたため経皮経肝胆管ドレナージ術を施行した.胆汁の洗浄細胞診で悪性細胞が証明されたため,下部胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.組織学的に深達度,m,hinf0,ginf0,panc0,d0,vs0,dw0でStageIであった.早期胆管癌の定義については,種々の論議があり,報告者により様々であった.今回改訂となった胆道癌取扱い規約では,組織学的深達度が粘膜(m)内または線維筋層(fm)内にとどまるもので,リンパ節転移を問わないと規定された.近年,画像診断の進歩と共に早期胆道癌も発見される機会が多くなってきているが,胆管癌では,いまだにその早期診断は困難である.肝外胆管癌においては,黄疸を契機に発症することが多く,ほとんどが進行癌である.無黄疸症例でも不定愁訴に加え,ALP,γ-GTP,LAPなどの胆道系酵素の上昇に注意することや,腹部超音波検査,DIC,更に,ERCP,PTCによる直接造影を積極的に行うことにより診断の向上に努めるべきと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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