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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻9号

1994年08月発行

文献概要

今月の主題 食道のヨード不染帯 主題 Ⅰ.ヨード不染帯の臨床的意義

ヨード不染帯の臨床的意義―内視鏡の立場から

著者: 神津照雄1 村岡実1 山田英夫1 有馬美和子1 菱川悦男1 田中元1 石島秀紀1 吉村清司1 森川丘道1 清水英一郎1 青木泰斗1 有馬秀明1 小出義雄1 磯野可一1

所属機関: 1千葉大学医学部第2外科

ページ範囲:P.883 - P.889

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要旨 ヨード不染帯をその不染程度から3段階に分類し,生検組織診断と比較した.同じ濃度のヨード染色を行っても,症例によって染色性が異なる.したがって,同一症例の正常食道粘膜の染色程度をGrade Ⅱとし,わずかに黒変するが明らかに染色不良部として見えるものをGrade Ⅲ,ルゴール液の黄色調を呈し,黒変しない領域をGrade Ⅳ,まったく染色されず,ルゴール液の色調もはじいているような白色,肌色を呈するものをGrade Ⅴとし,GradeⅢ ~Ⅴをヨード不染帯とした.食道癌に付随したヨード不染帯の生検診断は,Grade Ⅴを示す不染部では80.3%が癌の組織診断を得た.Grade Ⅳでは異型上皮が37.1%,食道炎が29.0%の比率を占めた.癌は17.7%の頻度であった.Grade Ⅲでは癌は1例もみられず,食道炎の組織診断が63.8%の症例で得られた.食道癌を伴わない症例のヨード不染帯の生検診断は,Grade Ⅲでは食道炎の診断が88.0%の症例に得られ,Grade Ⅳでは食道炎の診断は55.3%に減少している半面,異型上皮の診断が34.2%の症例で得られた.一方,Grade Ⅴでは食道炎はみられず,正常・その他が87.5%を占めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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