icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻9号

1994年08月発行

文献概要

今月の主題 食道のヨード不染帯 主題症例

表在平坦型(0-Ⅱb型)食道癌の1例

著者: 中野浩1 宇野浩之1 中村祐子1 八木伸郎1 野村知抄1 前田玲二1 保原怜子1 大橋秀徳1 高濱和也1 渡辺真1 伊藤圓1 黒田誠2

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科 2藤田保健衛生大学病理科

ページ範囲:P.931 - P.934

文献購入ページに移動
要旨 46歳,男性.アルコール性肝障害で通院中,食道静脈瘤の有無をみるための内視鏡検査で下部食道に異常所見を発見され入院した.内視鏡検査では,下部食道に低い隆起と,その周辺に発赤した粘膜が認められた.その中に前回の生検の跡と思われる小発赤点があった.病変部はヨード染色法で不染帯としてはっきり描出された.生検診断は扁平上皮癌であった.食道二重造影像では,この生検の跡と思われる小不整陰影斑の周囲に淡いバリウムの付着として現れた.切除標本の肉眼観察では病変を指摘することができなかった.切除標本のヨード染色で病変は2.3×1.5cmの不染帯として現れた.病変部は平坦で,周辺との境界部に高低差はなく表在平坦型(0-Ⅱb型)と診断した.病理組織診断は中分化型扁平上皮癌,深達度mm1,リンパ節転移は認められなかった.このような平坦型食道表在癌の診断におけるヨード染色法の大切さを再認識した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?