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文献詳細

雑誌文献

胃と腸29巻9号

1994年08月発行

文献概要

症例

戦争イソスポーラ長期感染の1例

著者: 望月祐一1 川崎厚1 吉田隆亮1 藤野隆博2 多田功2 八尾隆史3 飯田三雄4

所属機関: 1北九州市立若松病院内科 2九州大学医学部寄生虫学 3九州大学第2病理 4川崎医科大学消化器内科

ページ範囲:P.969 - P.974

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要旨 患者は71歳,男性.主訴は17年来の下痢と,ときに認める高熱.初診時,羸痩著明で低アルブミン血症と高IgE血症を認めた.入院後,糞便および十二指腸液からIsospora belliのoocystを検出,更に十二指腸生検で粘膜上皮細胞内に各発育段階のIsospora belliを認め,イソスポーラ症と診断した.消化管検査では食道,胃,大腸に著変はなかったが,小腸にKerckring皺襞の消失と粗ぞうな凹凸不整粘膜をびまん性に認めた.特に十二指腸第2部の所見は高度で,組織学的には著明な慢性炎症性細胞と好酸球の浸潤ならびに浮腫と線維化を認めた.免疫不全を示唆する基礎疾患は認められなかった.diaminopyrimidine・sulfonamide合剤が著効を示したが,投与中止2か月後に再発したため少量持続投与に切り替え経過は良好である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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