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文献詳細

雑誌文献

胃と腸3巻12号

1968年11月発行

今月の主題 多発胃癌

綜説

仮称“非特異性多発性小腸潰瘍症”

著者: 岡部治弥1 崎村正弘1

所属機関: 1九州大学医学部勝木内科

ページ範囲:P.1539 - P.1549

文献概要

Ⅰ.はじめに

 著者等は昭和38年1月から42年12月までの5年間に,きわめて類似した臨床的病理学的特徴を有する6例の小腸病変を経験した.この一群の疾患は主として若年者を侵し,臨床的には長年月に亙る潜出血と,それによる二次性貧血を主症状とし,低蛋白血症,発育障害,種々の程度の腹痛を伴っている.病理学的には主として回腸中~下部に形成された浅い潰瘍と潰瘍中心性にみられる非特異性炎症像が基本的な病像であった.

 1932年,Crohn1)等によって提唱された新らしい疾患概念が,その後いくつかの曲折を経つつも,現在限局性腸炎として病理学的にも一疾患単位として認められている所以は単に腸管を局所性に侵す非特異性炎症群という雑多なものの総合としてではなく,そこに出現した所見の組合せや,所見の強弱の間に,本症を貫ぬく一連の特徴像があるからにほかならない.

 かかる基本的観点から,著者等は経験6例の小腸潰瘍性病変につき,その臨床像,病理像を記載するとともに,限局性腸炎との差異を比較し,本疾患の位置づけを試みるのを本稿の目的とした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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