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今月の主題 胃の巨大皺襞 綜説
巨大皺襞とMénétrierの原著の紹介
著者: 多賀須幸男1
所属機関: 1国立がんセンター病院
ページ範囲:P.525 - P.533
文献購入ページに移動 メネトリエ病の解釈,あるいは巨大皺襞との関連などについて,わが国でも海外でもかなりの混乱がみられる.この混乱を収拾するには,メネトリエの原著を再検討することが参考になろう.この論文は1888年のArch. Physiol. Norm. Path., 1:32~55,236~262.に掲載された,「胃のpolyadénomeとその胃癌合併例(Des polyadénomes gastriques et de leurs rapports avec le cancer l'estomac)」と題する57頁にわたるもので,今日メネトリエ病と呼ばれている病変は,その第2章にpolyadénomes en napPeの名で記述されているものに相当する.en nappeとは,「横に広く拡った」といったような意味である.第1章では胃のポリープまたはポリポージスにつき述べ,第3章でこれらの癌化の問題につき詳述し,これらを一連の同種の病変として理解しようとしている.主として病理組織学的な内容である本論文の記載は極めて精細で,写真が自由にならない時代としては当然のことかも知れないが,ややまわりくどいと思われる個所も少なくない.80年も前の論文を詳しく紹介することは無駄のようにも考えるが,原著者の考えを素直に理解することも大切と思い,第1章は端折って,第2章はかなり忠実に,第3章以下は簡単に,あえて再録してみた.この時代の用語の定義あるいは医学知識の水準を調べる余裕がなかったので,少なからぬ誤りがあることと思う.御叱正をお願いする次第である.なおこの論文は,胃ポリープの癌化を論じた最も古い重要なものの一つでもある.
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