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文献詳細

雑誌文献

胃と腸3巻6号

1968年06月発行

今月の主題 前癌病変としての胃潰瘍とポリープの意義

ポリープの部

胃ポリープの経過観察

著者: 井上幹夫1 中山健1 武富弘行1 福井正範1 入江信行1 水野修一1 原田健一1 林田泰治1

所属機関: 1九州大学医学部桝屋内科

ページ範囲:P.761 - P.766

文献概要

Ⅰ.はじめに

 胃内視鏡検査の発達と共に胃ポリープは比較的容易に発見され,日常の診療に屢々遭遇するようになった.教室の内視鏡検査に於けるポリープの発見率は5750例中110例1.9%であるが,第1図の如く年令の増加と共に胃ポリープの発見率が増加している.

 胃ポリープは臨床的には特に(1)膨隆性癌腫との鑑別,(2)良性ポリープの悪性変化の問題,(3)出血などの合併症而して究極的にはその治療方針の決定が最も重要な問題であると考えられる.これらの中良性ポリープの悪性化の問題にっいては,従来主として摘出胃又は剖検胃の組織学的検索の結果に基いて論ぜられて来た.然しこのような方法のみでは,胃潰瘍と癌との関係に於けると同様胃ポリープの悪性化についての一つの面だけの観察に終る危険性がある.

 私共は胃ポリープの経過による形態的,組織学的変化,就中胃ポリープの悪性変化の問題を解明する一つの方法として,良性と判断した胃ポリープを内視鏡及び直視下生検により追求しており,現在最長7年11ケ月の経過を観察し得た.然しながら,現在までに追求し得た症例は未だ症例数も少く,又観察期間も比較的短いので,本日の主題である悪性化の問題については結論を出し得べくもないが,今回は私共の研究の中間報告として現在までの観察結果を紹介し,与えられた責をふさぎたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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