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文献詳細

雑誌文献

胃と腸3巻8号

1968年07月発行

文献概要

今月の主題 進行癌の問題点 綜説

スキルスの臨床―診断および経過

著者: 青山大三1

所属機関: 1大阪回生病院放射線科

ページ範囲:P.935 - P.947

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Ⅰ.はじめに

 近年諸家が各診断面で絶大なる努力をされたため,早期胃癌が多く発見されるようになってきた.しかし,胃粘膜面の所見が早期胃癌のそれと全く同じであったり,また,小さいか微小であっても,癌の深達度が深いものも発見されるようになってきた.

 胃癌の予後は癌の粘膜面の拡がりによっては決定されず,深達度によって決されるものであることは当然であるが,これを臨床的に術前にもうすこし考えてみるべきであろう.

 そこでここに臨床的にみてスキルスあるいはボールマンⅣの胃癌をクローズアップしてみよう.

 一般開業医と臨床医は初回の胃検査で胃炎といって,一カ月または数カ月後に自分かまたは他医で極めて大きなスキルスまたはボールマンⅣの胃癌と診断されたようなにがい経験を必ずもっているのである.この時もう少し早い時期に発見することができないかと初回のフイルムをレ線的内視鏡的に見なおしているものである.

 早期胃癌を見出すには,極めて軽度の凹凸や色調の変化を注意してみなければならないことは今日では慣例になっている.このような見方をスキルスにたいして,あてはめてみるとどのようなことになるであろうかということがいつも頭の中を往来しているわけである.

 胃の各種検査施行の間隔にも問題があろうが,これらの種々の点について,二,三の反省をしてみたいと思う.胃浸潤癌の術後5年生存率はわが国では10-23%であるから,今後はこの価をさらに上昇させたいからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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