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文献詳細

雑誌文献

胃と腸3巻8号

1968年07月発行

文献概要

今月の主題 進行癌の問題点 症例

Terminal hemorrhagic necrotizing enteropathy(急性偽膜性腸炎)の1剖検例

著者: 太田五六1 菊地誠2 宮保進3

所属機関: 1金沢大学医学部医動物学教室 2金沢大学医学部ト部外科 3金沢大学医学部村上内科

ページ範囲:P.1003 - P.1008

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Ⅰ.緒言

 PennerとBernheim1)(1939)が手術後の患者の腸管に出血性の壊死が多発して,しかも上および下腸間膜動脈および静脈の内腔に閉塞のない疾患を記載し,acute postoperative enterocolitisと命名した.夫妻は,この疾患の病因をショックに求め,ショック時の腸管に血管の虚脱状態が起こり,乏血のために腸管壊死が発生すると考えた.その後,この病因論の当否について,多くの議論が起こり,と同時に疾患の呼称についても,Pseudomembranous enterocolits(Baggenstossら2)1954)を始めとして,近くはnonocclusive mesenteric ischemia(Fogarty,Fletcher3)1966),terminal hemorrhagic necrotizing enteropathy(Bhagwat,Hawk4)1966)など多彩な名称が用いられている.最近米国を中心としてこの疾患の病因論が再び活発な議論を呼び,10年以前の病因論よりもはるかに高いレベルで,討議されている.

 米国での本疾患の発生は,それほど稀なものではなく,すでに500例近い報告があり,剖検体数の0.6%5)から0.8%4)の出現率にあたるようであるが,本邦での発生は,欧米に比べてはるかに少なく,死後に剖検した報告例は,最近10年間にわずか10数例6)7)8)9)に過ぎない.

 長らく胆石症に悩み,最後の発作直後から下腹部激痛,ショック,穿孔性腹膜炎を起こし,直ちに開腹して回腸切除を行ったが,19日目に死亡した1例を経験し,剖検したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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