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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻10号

1995年09月発行

今月の主題 微小胃癌

主題

未分化型胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)の適応限界―病理の立場から

著者: 中野和夫1 柳澤昭夫1 宇都出公也1 久保起与子1 羽田丈紀1 石原省1 加藤洋1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1289 - P.1294

文献概要

要旨 未分化型胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)の適応限界を考察するため,外科切除例の未分化型早期胃癌(m癌552例,sm癌233例)を用いて,深達度など諸病理学的事項とリンパ節転移との関係を詳細に分析した.われわれ病理部では,4~8mmの間隔で切り出しを行っているが,m癌およびsm癌のリンパ節転移率はそれぞれ1.8%,21.9%であった.リンパ節転移のない条件は,m癌の場合,①肉眼型が隆起型あるいは平坦型ならば大きさは問わない,②肉眼型が陥凹型であれば,大きさ40mm以下.sm癌の場合,①sm浸潤の深さが200μmまでならば,リンパ管侵襲(ly),潰瘍病変(Ul)の有無は問わない,②sm浸潤の深さが200μmを超える場合は,ly,Ulが陰性であれば,浸潤の深さ900μmまで,あるいは大きさ20mm以下.したがって,従来から,未分化型癌に対する本治療法の適応範囲は,大きさ5mmまでのm癌とされていたが,もう少し拡げてよいと考える.実際的あるいは総合的立場からは,大きさ10mmまで,sm深達度200μmとするのが妥当であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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