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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻10号

1995年09月発行

今月の主題 微小胃癌

主題

腸上皮化生の強い胃の非癌粘膜におけるp53陽性腺管

著者: 宇都出公也1 柳澤昭夫1 加藤洋1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1309 - P.1313

文献概要

要旨 腸上皮化生の強い胃は,分化型胃癌の発生母地と言われている.しかし,腸上皮化生腺管から癌に至る過程は明らかではない.どのような化生腺管が癌になるのか,すなわち,分化型胃癌の前病変とはどのようなものかを探るために,腸上皮化生の強い胃にp53免疫染色を行い,非癌粘膜におけるp53陽性腺管を集めて組織学的に検討した.胃全体の粘膜のうち腸上皮化生粘膜が2/3以上を占める,全割された切除胃9例の全切片にp53免疫染色を行って,非癌粘膜におけるp53陽性箇所を38か所確認した.それらを組織学的に検討した結果,分布については一定の傾向はなく,またH・E染色標本上で同部位を見直したところ,必ずしも異型があるものばかりではなかった.また,H・E染色上異型があるとした箇所の多くは,胃型の腺管であった.今回検討した非癌粘膜におけるp53陽性腺管が前癌病変であるとは断定できないが,分化型胃癌の多くは,腸上皮化生腺管ではなく,化生粘膜の中に残存する胃型の腺管から発生している可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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