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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻10号

1995年09月発行

文献概要

症例

粘膜下腫瘍様形態を呈した胃癌の1例

著者: 小野川高弘1 八木伸朗1 神谷雅人1 野村知抄1 加藤真二1 大橋儒郁1 西井雅俊1 大橋秀徳1 保原玲子1 渡辺真1 高濱和也1 中野浩1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化器内科

ページ範囲:P.1333 - P.1336

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要旨 患者は58歳,男性.心窩部痛を主訴として来院.胃X線検査で,幽門前庭部に,中央にクラーテルを持つ立ち上がりの明瞭な腫瘤陰影を認めた.胃内視鏡検査では,この腫瘤の表面は周辺と同じ粘膜で覆われ,その中央には臍窩様の深い陥凹が見られた.このクラーテルの辺縁の一部に浅い不整形のびらん面を認め,その部を中心に生検標本を採取したが,癌の診断は得られなかった.胃癌と診断したが,平滑筋肉腫などの粘膜下腫瘍との鑑別がつかないまま,胃切除術を施行した.切除胃標本では,3.0×2.5cmの粘膜下腫瘍様の腫瘤を認め,その中央には深い陥凹があり,その辺縁の一部に浅い不整びらん面を認めた.切除胃の病理組織学的検索では,このびらん面のごく一部に癌が露出している所見が認められたのみで,腫瘍は周辺粘膜に覆われていた.また,深い陥凹底の表面は壊死物質で覆われていた.病理組織学的診断は固有筋層まで達した低分化型髄様腺癌であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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