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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻10号

1995年09月発行

文献概要

症例

ドロレス顎口虫の大腸壁内迷入によるイレウスの1例

著者: 松野正宏1 瀬口浩司2 片岡寛章2 河野正2 小林隆彦3 富田雅樹3 石川直人3 丸山治彦3 伊藤浩史3 名和行文3

所属機関: 1社会保険宮崎江南病院外科 2宮崎医科大学第2病理学 3宮崎医科大学寄生虫学

ページ範囲:P.1337 - P.1341

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要旨 患者は57歳,男性.主訴は腹痛.腹部単純X線写真でniveauを認めたため,イレウスの診断で入院となる.保存的治療によりイレウス状態は改善したが,注腸造影上,上行結腸肝彎曲部近くにBorrmann I型の腫瘤陰影を認め,大腸癌を否定できないため,開腹手術により,同部を中心に前後約15cmの上行結腸横行結腸切除術を施行した.肉眼的には,漿膜面に約4cm径の小出血像を伴う白境界不鮮明な腫瘤を認めた.組織学的には,同腫瘤は漿膜下組織を中心として,筋層,粘膜下組織へ拡がる著明な好酸球性の炎症像から成り,組織標本の1つに径0.2mmの寄生虫断面を認めた.実体顕微鏡下で,ほぼ完全な虫体を取り出すことができ,ドロレス顎口虫第3後期幼虫と断定された.これまでに知られているドロレス顎口虫症のほとんどは皮膚爬行症として発症しており,大腸壁内迷入によりイレウスを引き起こきしたと考えられる症例は本報告が初めてである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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