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今月の主題 食道表在癌の発育進展―症例から学ぶ 序説
食道表在癌の発育進展
著者: 西沢護
所属機関: 1東京都がん検診センター
ページ範囲:P.1355 - P.1356
文献購入ページに移動 癌の自然史を知ることの難しさは,その方法論にある.癌とわかって観察することは,動物実験ではなしえても,患者を臨床研究に用いることはできない.偶然,retrospectiveあるいはprospectiveに自然史の一部を断片的にとらえることはありうるが,前者では見逃し例が主となるので,見逃し時の検査がよくないため,しばしば間違った推定をしてしまう.後者は,何か治療ができない理由でもない限り,その機会に恵まれることは少ないし,あったとしても癌と知って検査のfollow-upに応じる患者はほとんどない.どの臓器の癌の自然史も,いまだ霧の中にある理由はそのあたりにある.
癌は自律的に無秩序に発育進展するものである以上,全く同じ道をたどるものはない.そのバラエティーに富んだ,発生から死に至る形態学的,生物学的推移の中から一定の法則を見いだすことは難しいが,その中でも類似の傾向を見いだすことはできる.それらの類似性を求める唯一の拠り所は,正確なcase reportの積み重ねである.その中からできるだけの情報を集めて推測することが唯一無二の方法であるが,簡単に結論が出てこないだけに興味は尽きない.
癌は自律的に無秩序に発育進展するものである以上,全く同じ道をたどるものはない.そのバラエティーに富んだ,発生から死に至る形態学的,生物学的推移の中から一定の法則を見いだすことは難しいが,その中でも類似の傾向を見いだすことはできる.それらの類似性を求める唯一の拠り所は,正確なcase reportの積み重ねである.その中からできるだけの情報を集めて推測することが唯一無二の方法であるが,簡単に結論が出てこないだけに興味は尽きない.
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