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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻11号

1995年10月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の発育進展―症例から学ぶ 主題症例 1.粘膜癌から進行癌へ経過観察例

内視鏡的に8年4か月間経過観察しえた食道表在癌の1例

著者: 林恒男1 武雄康悦1 今里雅之1 林俊之1 曽我直弘1 桜井明1 中村裕恵1 田中良基1 亀山健三郎1 田中精一1 井手博子2

所属機関: 1中山記念胃腸科病院 2東京女子医科大学消化器外科

ページ範囲:P.1357 - P.1363

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要旨 患者は88歳,男性.1986年7月(79歳時)健診で胃角部開大を指摘され来院した.内視鏡検査で食道中部に不整なびらん様陥凹を認め,0-Ⅱcを疑い生検し,食道粘膜癌と診断した.積極的治療を望まないために化学療法のみ施行し,定期的に内視鏡検査を施行し,経過観察となった.少なくとも,2年2か月まではep癌,4年4か月まではm癌,そして5年3か月まではsm癌と,非常に緩徐な進展であった.その後,6年4か月になって,病変の一部でmpへの浸潤が疑われた後,急速に進行し,8年4か月後,通過障害自覚時には潰瘍浸潤型,3/4周を占める進行癌となった.本症例は食道粘膜癌から進行癌へのほぼ自然な経過を経時的に捉えた点で興味ある症例と思われる.なお,経過中,胃の腺腫の癌化も観察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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