今月の主題 食道表在癌の発育進展―症例から学ぶ
主題症例 3.疑診例の経過
長期間にわたり経過観察しえた陥凹を伴う隆起型食道表在癌の2例
著者:
山田義也1
吉田操2
門馬久美子1
葉梨智子2
榊信廣3
中村二郎4
小池盛雄4
加藤久人5
小沢昭司6
所属機関:
1東京都立駒込病院内科
2東京都立駒込病院外科
3東京都立駒込病院内視鏡科
4東京都立駒込病院病理科
5早期胃癌検診協会
6小沢胃腸科
ページ範囲:P.1391 - P.1396
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要旨 3年および1.5年の自然経過を観察しえた隆起型食道表在癌2例を経験した.〔症例1〕は,下部食道に細顆粒状の凹凸を示す白色隆起を指摘され,生検で食道炎と診断され,経過観察となった.3年後には隆起は0-1型を示すほどに増大し,生検で扁平上皮癌と診断された.〔症例2〕は,中部食道の白色隆起を指摘され,生検で乳頭腫と診断され,経過観察となった.1.5年後には白色隆起は増大し,生検で扁平上皮癌と診断された.2症例とも,早期から隆起の周囲に陥凹を伴っており,病変の増大時にも形態的特徴に変化はなかった.また,いずれの症例においても,初回生検時には良性病変と診断されており,初期診断の難しい症例であった.