今月の主題 食道表在癌の発育進展―症例から学ぶ
主題症例 4.短期間で著名な形態変化を呈した症例 a)増大例
短期間に0-Ⅱc型から0-Ⅲ型に発育した食道表在癌の2例
著者:
門馬久美子1
吉田操2
山田義也1
葉梨智子2
荒川丈夫3
榊信廣3
中村二郎4
小池盛雄4
加藤久人5
所属機関:
1東京都立駒込病院内科
2東京都立駒込病院外科
3東京都立駒込病院内視鏡科
4東京都立駒込病院病理科
5早期胃癌検診協会
ページ範囲:P.1397 - P.1402
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要旨 比較的短期間に病変の形態が変化した2症例を経験した.〔症例1〕,Ⅱcの診断で他院から紹介された.内視鏡治療前の検査では,再生上皮で覆われた陥凹周囲に数個のⅡc病変を認めた.16日後の粘膜切除施行時には,Ⅱc病変の1個が,周囲に盛り上がりを有する0-Ⅲ型に変化していた.切除標本では大きさ3.5×3mmと小さいが,脈管侵襲陽性のsm1癌であった.〔症例2〕は下咽頭癌の重複例であり,初回内視鏡検査時,多発するⅡc病変を認めた.周囲に円盤状の盛り上がりを有したⅡcは,約9週間後の内視鏡再検時には,陥凹が深く,周囲の盛り上がりも著明となり,0-Ⅲ型に変化していた.2症例とも,単純なⅡcとは異なり,小病変のときから周囲に円盤状の盛り上がりが見られる病変であった.