今月の主題 食道表在癌の発育進展―症例から学ぶ
主題症例 4.短期間で著名な形態変化を呈した症例 a)増大例
0-Ⅱc(sm)型から急速に形の変化した0-1+Ⅱc型食道表在癌の1例
著者:
加藤久人1
斉藤彰一1
浜本順博1
河野通康1
光永憲央1
西村克人1
門馬久美子2
吉田操3
川村徹4
小池盛雄4
市川平三郎1
所属機関:
1早期胃癌検診協会
2東京都立駒込病院内科
3東京都立駒込病院外科
4東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.1403 - P.1407
文献購入ページに移動
要旨 患者は63歳,男性.胃集検で食道病変を指摘された.初回内視鏡検査では,上切歯列から27~33cmの前壁を中心とした0-Ⅱc型,中央部は粗大顆粒状の辺縁隆起を伴った陥凹であり,0-Ⅱc(sm)型と考えられた.2か月後の内視鏡検査で,病巣の一部に丈の高い隆起が出現し0-Ⅰ+Ⅱc型に変化した.X線検査で0-Ⅰ部分は著明なひだ肥厚様の透亮像として描出され,深達度sm2と推定された.病理所見は,5.5×5.2cmの0-Ⅰ+Ⅱc型,深達度sm3,中分化型扁平上皮癌,ly2,v1,n4(+).0-Ⅱc病変の粘膜下層浸潤に伴い,0-I型の隆起が出現した症例であり,初回検査時の“壁を弛緩させると一部がわずかに盛り上がる所見”は粘膜下層浸潤を示唆すると考えられた.