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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻11号

1995年10月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

類骨形成を伴った食道の"いわゆる癌肉腫"の1例

著者: 有馬美和子1 神津照雄2 小出義雄1 磯野可一1 堀江弘3

所属機関: 1千葉大学医学部第2外科 2国保成東病院 3千葉県こども病院検査部病理科

ページ範囲:P.1437 - P.1444

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要旨 患者は47歳,男性.貧血の原因検索中に食道に異常を指摘され,当科に紹介された.X線・内視鏡検査で胸部中部食道に2cm大のpolypoid lesionが認められ,周囲に全周性のⅡc病巣を伴っていた.生検では扁平上皮癌と紡錘形細胞の両方が採取された.EUSで深達度sm3と診断し,右開胸による3領域郭清を行った.組織学的には扁平上皮癌と,錯綜する紡錘形細胞肉腫との問に移行像が認められ,肉腫様成分内に一部類骨の形成が認められた.免疫染色では扁平上皮癌部分はkeratin陽性,肉腫様部分はvimentin陽性であった.類骨の部分は両方陰性で,骨芽細胞の配列はなく,周辺部より類骨中に異型細胞が見られ,腫瘍細胞によって形成された類骨と判断し,類骨の形成を伴う“いわゆる癌肉腫”と診断した.深達度sm3,n0 であった.癌肉腫の本邦報告例は検索しえた限りでは140例あり,若干の文献的考察を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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