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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻12号

1995年11月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫の診断と取り扱い 主題

5mm以下の大腸微小腺腫の診断と取り扱い―病理からみた微小腺腫

著者: 鈴木典子12 石黒信吾1 春日井務1 船井洋子1 石川秀樹1 河田佳代子12

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理検査科 2大阪市立大学医学部第3内科

ページ範囲:P.1565 - P.1570

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要旨 近年,内視鏡検査・診断の進歩により微小な病変も数多く発見されるようになった.それら微小病変(5mm以下)の肉眼型,組織型mitosis,apoptosisの発現を,それ以上の大きな病変と対比させて検討した.微小病変の大多数は臨床的に良性として取り扱われる病変(Group2,3)で,肉眼型もIsを示すものが過半数であった.また,5mm以下の病変と6mm以上の病変を対比してmitosis,apoptosisの発現を検討すると,微小病変でapoptosisの発現は有意に高くmitosisの発現は有意に低かった.これらの結果から,病変の大きさはmitosisとapoptosisのバランスのうえに成り立っており,5mm以下の病変には大きさの増加しないもの,あるいは減少するものがあると思われた.微小腺腫の取り扱いについては,mitosisが多くapoptosisが少ない増殖傾向にあると考えられる症例は積極的に切除し,mitosisが少なくapoptosisの多い症例は,今後もおそらく大きさに変化を来さないか縮小傾向にあると考えられ,これらの症例は経過観察のみでよいと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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