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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻13号

1995年12月発行

文献概要

今月の主題 小腸画像診断の新しい展開 主題症例

多発性狭窄を呈した虚血性小腸炎の1例

著者: 矢野祐二1 青柳邦彦1 八尾隆史2 松本主之1 檜沢一興1 中村昌太郎1 江口浩一1 金本孝樹1 壬生隆一3 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2九州大学医学部第2病理 3九州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1655 - P.1661

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要旨 患者は73歳,女性.1993年12月ごろから腹痛が続いたため,精査加療目的で1994年3月10日,当科に入院した.入院時,便潜血陽性.便培養では病原菌は認めず,ツベルクリン反応は陰性であった.上・下部消化管内視鏡検査では治癒期の胃潰瘍以外に異常は認めなかった.小腸造影検査で下部小腸に約40cmにわたって多発する高度の狭窄像を認め,4月20日に回腸部分切除術を行った.術中内視鏡所見と切除標本では4か所に多発する全周性潰瘍を認めた.病理組織学的には,粘膜下層に線維化を伴うUl-Iの多発潰瘍が見られ,その介在粘膜にも慢性の再生性変化および粘膜下浮腫を認めることから,これらを一連の区域性虚血性病変と診断した.虚血性小腸炎は一般的には単発の全周性区域性潰瘍を呈するが,本症例は潰瘍が比較的浅く,病変が広範かつ不均一であったため多発性狭窄を呈したと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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