今月の主題 表面型大腸癌の発育と経過
主題
表面型大腸癌の発育経過―X線学的遡及例の検討
著者:
松井敏幸1
八尾建史1
竹中国明1
真武弘明1
菊地陽介1
古川尚1
櫻井俊弘1
八尾恒良1
岩下明徳2
帆足俊男2
平川雅彦3
渕上忠彦3
青柳邦彦4
松本主之4
中村昌太郎5
今村達也6
久保達哉7
伊達弘一7
畠山定宗8
植木光彦8
中原束9
所属機関:
1福岡大学筑紫病院消化器科
2福岡大学筑紫病院病理部
3松山赤十字病院消化器科
4九州大学医学部第2内科
5九州大学医学部第2病理
6佐田病院
7芦屋中央病院
8済生会二日市病院
9九州中央病院
ページ範囲:P.191 - P.206
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要旨 表面型起源の大腸癌17病変と無茎性隆起型早期癌起源の大腸癌12病変の発育経過をX線所見を中心に遡及的に分析した.表面陥凹型癌の初回病変径は平均11.7mmで,腫瘍倍加時間は32.3か月であった.表面隆起型癌の初回病変径は11.5mmで倍加時間は22.3か月であった.両者ともに腺腫の併存は少なく,進行癌への移行は低率で発育速度は無茎性隆起型のそれに比し緩やかであった.形態変化については,表面隆起型の癌の多くは無茎性隆起の形態へ移行し,表面陥凹型の癌は形態変化が少なかった.また表面型癌のうち発育が緩やかなものは低異型度癌であった.これに対し,無茎性隆起型癌の初回病変径は平均15.7mmと大きく,既にsm癌とみられる病変が多く,進行癌への移行は高率であった.以上から表面型癌はsm癌にとどまる間は比較的緩やかに発育し,肉眼型の形態変化は深達度の進行と共に一定の経過をたどることがわかった.