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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻2号

1995年02月発行

文献概要

今月の主題 表面型大腸癌の発育と経過 主題症例

X線的に遡及的検討が可能であったⅡa+Ⅱc型大腸sm癌の1例

著者: 平川雅彦1 渕上忠彦1 岩下明徳2 臺丸裕3 松坂俊光4

所属機関: 1松山赤十字病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理 3松山赤十字病院病理 4松山赤十字病院外科

ページ範囲:P.223 - P.226

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要旨 患者は64歳,男性.12年前にS状結腸のIp型早期癌を内視鏡的に切除され,経過観察目的の大腸内視鏡検査で,上行結腸に中央に不整形陥凹を伴う発赤調扁平隆起が発見された.精密X線検査では,18×11mmの丈の低い結節状周辺隆起を伴う不整形陥凹として描出され,Ⅱa+Ⅱc型早期大腸癌と診断し,上行結腸切除術を施行した.病理組織学的には12×10mmのⅡa+Ⅱc型の分化型腺癌で大部分はm内にとどまり,sm浸潤はごくわずかであった(sm1).この病変は2年4か月前の注腸X線写真を見直すと,ほぼ同じ大きさ,形態で描出されていた.陥凹を伴う表面型大腸癌は深部浸潤速度が速いと言われているが,本例のように緩徐な発育進展を呈するものも存在すると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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