今月の主題 表面型大腸癌の発育と経過
主題症例
経過を追えた表面型起源大腸癌の2例
著者:
多田修治1
田上洋一1
小山浩徳2
山田孝吉3
神尾多喜浩4
市原明比古1
池田和隆1
中村太造1
廣田和彦1
大野靖一1
宮瀬秀一1
瀬上一誠1
原口修1
須古修二4
須古博信1
飯田三雄5
所属機関:
1済生会熊本病院消化器科
2小山胃腸科クリニック
3荒尾クリニック
4済生会熊本病院病理
5川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)
ページ範囲:P.227 - P.233
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要旨 初回発見時の形態が平坦な隆起型であり,その後浸潤癌へと進展した大腸癌の2例を報告する。〔症例1〕は70歳,男性.初回の注腸X線検査で,S状結腸に浅い中心陥凹を伴う長径11mmの平坦な隆起性病変を認めた.内視鏡検査ではⅡa様の隆起がみられたが生検はGroup3であった.1年9か月後の注腸X線および内視鏡検査では,同部に中心陥凹を伴った長径21mmの結節状隆起を認めた.切術標本では,潰瘍限局型のpmまで浸潤した中分化腺癌であった.〔症例2〕は42歳,男性.内視鏡検査で下部直腸前壁に,長径約7mmの平坦な病変を認め,生検はGroup3であった.5年後,血便を主訴に再び来院し,内視鏡検査で前回と一致する部位に,浅い中心陥凹を伴う平盤状隆起を認め,生検でGroup5の診断が得られた.切除標本では,Ⅱa+Ⅱc型のsmに浸潤した中分化腺癌であった.2例の発見時と切除時における,肉眼所見と組織所見の形態学的変化を考察した.