今月の主題 腸結核
主題
腸結核診断の現状―最近の当科経験例を中心に
著者:
樋渡信夫1
野口光徳1
鈴木仁人1
木内喜孝1
伊藤薫1
木村光雄1
前川浩樹1
島田剛延1
長瀬慶一郎1
江川春延2
森元富造3
山下和良4
三浦正明5
豊田隆謙1
所属機関:
1東北大学医学部第3内科
2東北労災病院消化器内科
3宮城県対がん協会がん検診センター
4仙台赤十字病院消化器内科
5若柳消化器内科小児科
ページ範囲:P.497 - P.506
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要旨 腸結核診断の現状を明らかにするために,平成以降(1989年以降)に当科で経験した活動性腸結核6例の臨床成績を検討した.5例は50歳以上で,2例は無症状で大腸がん集検により拾い上げられた.肺結核の既往,初診時活動性病変はそれぞれ1例にみられたのみで,2/3の症例は原発性腸結核と思われた.ッベルクリン反応が陽性を示したのは半数のみだった.X線的には大腸癌,Crohn病との鑑別を要したのが1例ずつあった.3例で病変部から結核菌を検出できたが,乾酪壊死は1例にも証明できなかった.他の3例も形態学的特徴と治療効果から確診とした.今後も結核罹患率低下の鈍化が続くことが予想され,腸結核の存在を常に念頭に置いて診療に当たる必要がある.