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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻4号

1995年03月発行

文献概要

今月の主題 腸結核 主題

腸結核における遺伝子診断の有用性と問題点―病理組織学的所見および結核菌培養との比較

著者: 赤松泰次1 宮林秀晴1 藤森一也1 清澤研道1 日高恵以子2 降旗謙一2 勝山努2 丸山雄造3

所属機関: 1信州大学医学部第2内科 2信州大学医学部臨床検査医学 3長野県がん検診・救急センター

ページ範囲:P.525 - P.531

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要旨 腸結核における遺伝子診断の有用性について,17例の腸結核患者(非手術例12例,手術例5例)を対象に検討した.方法は生検および外科手術標本のパラフィンブロックから薄切標本を作製してDNAを抽出し,polymerase chain reaction(PCR)で増幅した後,制限酵素で消化してrestriction fragment length polymorphism(RFLP)のパターンから結核菌を同定した.生検組織標本においては12例中8例が陽性を示し,感度は66.7%であった.それに対して,非腸結核症例29例ではいずれも陰性で,特異度は100%,有用度は90.2%であった.従来の生検組織診断と結核菌培養との組み合わせにより,12例中11例(91.7%)で結核の診断が可能であり,PCR-RFLP法は腸結核の補助診断法として有用と考えられた.一方,外科手術標本では5例いずれも陰性で,長時間ホルマリン液に浸したことが原因と考えられた.本法の感度を更に向上させるためには新鮮組織標本での検討が必要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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