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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻4号

1995年03月発行

文献概要

今月の主題 腸結核 主題症例

回腸末端に微小な腸結核病変から進展したと思われる結核性腹膜炎の1例

著者: 高木靖寛1 櫻井俊弘1 宗裕人1 津田純郎1 中林正一1 竹中国昭1 松井敏幸1 八尾恒良1 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.559 - P.564

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要旨 患者は78歳の女性.下腹部痛,腹水を主訴として来院.腹水はリンパ球優位の滲出液で,ほかに血清CA125の上昇が認められた.結核性腹膜炎を疑い原因病変の検索のため全消化管の精査を行ったが,消化管の病変は回腸末端に微小な潰瘍を認めるのみであった.腹腔鏡検査では回盲部腸管の漿膜側に白色調の小結節が散在しており,その生検組織上,乾酪性肉芽腫が認められた.以上のことから,微細な腸結核病巣から腹膜炎を来した症例と考えられた.腹部結核は一般に,消化管に病変を有する腸結核と,消化管に病変を有さない腹膜結核に分類され,後者の感染経路は十分に解明されていない.消化管病変のない腹膜結核の中には,詳細な検索を行えば,このような微小な消化管病変が発見される可能性もあると考え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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