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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻4号

1995年03月発行

文献概要

今月の主題 腸結核 主題症例

結核性腹膜炎から派生したと思われる大腸結核の1例

著者: 中嶋均1 山形和史1 加藤裕昭1 棟方昭博1 吉田豊1 森田隆幸2

所属機関: 1弘前大学医学部第1内科 2弘前大学医学部第2外科

ページ範囲:P.565 - P.569

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要旨 患者は74歳,男性.69歳ごろから腹部不快感のため,毎年注腸造影検査を受けていたが,特に異常は指摘されていなかった.1988年,74歳時に施行した注腸造影検査で上行結腸のひだ集中を伴う陥凹性病変が指摘され,内視鏡検査でもひだ集中の目立つ地図状陥凹性病変が観察された.3回の生検でも裏付けは得られなかったが,画像診断から進行大腸癌の疑診で外科的に切除術を施行した.開腹時,腹腔内はケシ粒大から大豆大までの多数の結節が認められ,特に骨盤腔で著明であった.切除標本では上行結腸の病変は1.2×1.2cm大の地図状陥凹性病変であり,陥凹底は不揃いのgranularな変化が目についた.病変部の組織学的診断は結核であった.腹腔内の結節性変化も乾酪壊死を伴った肉芽腫から成る結核結節であることが確認され,腸結核を伴った結核性腹膜炎と診断された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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