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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻4号

1995年03月発行

文献概要

症例

虫垂Crohn病の1例と本邦報告例の検討

著者: 今村達也1 八尾恒良2 古賀東一郎1 木下寿博3 岩下明徳4 杉山謙二1 佐田増美3

所属機関: 1佐田病院内科 2福岡大学筑紫病院消化器科 3佐田病院外科 4福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.589 - P.594

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要旨 患者は43歳,男性.突然の右下腹部痛を主訴に来院.筋性防御を伴う圧痛を認めることから急性虫垂炎穿孔による腹膜炎を疑い,緊急手術を施行した.手術所見では,虫垂周囲に大網の癒着を伴い,これを剥離すると著明に腫大した虫垂があり,ほぼ中央部に穿孔を認めた.切除された虫垂は全長5.5cm,直径3.5cmと棍棒状に腫大していた.病理組織学的には,虫垂壁は好中球とリンパ球の全層浸潤と線維化を伴う全層性炎症のため著明に肥厚し,非乾酪性肉芽腫を認めた.更に,虫垂切除後に小腸,大腸の検索を行ったが,異常所見は認めなかった.以上の所見から虫垂Crohn病と診断した.虫垂切除2か月目に回腸盲腸瘻を形成したため回盲部切除を施行した.患者は術後9年目に脳出血で死亡したが,この間Crohn病の再発の徴候は認めていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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