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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

今月の主題 colitic cancer―微細診断をめざして

主題

潰瘍性大腸炎における腫瘍性病変のX線・内視鏡診断

著者: 松本主之1 飯田三雄2 青柳邦彦1 中村昌太郎3 八尾隆史3 瀬尾充4 岡田光男4 平川克哉5 渕上忠彦5 岩下明徳6 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2川崎医科大学内科(消化器Ⅱ) 3九州大学医学部第2病理 4福岡大学医学部第1内科 5松山赤十字病院消化器科 6福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.613 - P.628

文献概要

要旨 潰瘍性大腸炎症例を対象として,①dysplasiaの出現頻度,②腫瘍性病変のX線・内視鏡所見,および③腫瘍性病変におけるX線像の経時的変化を検討した.①surveillance colonoscopyで採取された121生検標本中,dysplasiaが20標本にみられ,このうち17標本は顆粒状粘膜ないし結節状隆起から採取されていた.②腫瘍性病変を合併した10症例21病変は,内視鏡上明らかな隆起性病変11病変,顆粒状粘膜6病変,隆起と顆粒状粘膜の混在2病変,陥凹と顆粒状粘膜の混在1病変に分類可能であったが,粘膜内癌1病変は内視鏡上同定できなかった.③3例4病変のX線所見の遡及的検討では,3病変が活動期あるいは寛解期の粘膜から顆粒状粘膜として発生し,2病変では顆粒状粘膜が内視鏡診断に1年ないし6年先行して認められた.以上から潰瘍性大腸炎における腫瘍性病変の診断には隆起性病変と顆粒状粘膜に注目することが重要と思われた.この粘膜面の微細な変化はX線検査でも描出可能であるので,特に寛解期においては色素内視鏡を用いた内視鏡検査と二重造影法によるX線検査を併用することが本症における潰瘍性病変の診断上重要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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