icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

文献概要

今月の主題 colitic cancer―微細診断をめざして 主題

潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌・dysplasiaの肉眼・実体顕微鏡像と生検組織診断

著者: 味岡洋一1 渡辺英伸1 小林正明1 松田圭二1 太田玉紀1 斉藤英俊1 佐々木正貴1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.629 - P.642

文献購入ページに移動
要旨 潰瘍性大腸炎(UC)に合併したdysplasia(粘膜内上皮性腫瘍:粘膜内癌を含む)を中心に,その肉眼像,実体顕微鏡観察下の微細表面性状を検討し,生検組織診断について考察した.dysplasiaは肉眼的には,45.8%(11/24)が隆起であり,褐色~黄褐色調を呈するものが19/24(79.2%)を占めた.pit patternの大部分はIBD非合併大腸粘膜にみられる腺腫,粘膜内癌のそれらと類似していた.dysplasiaの多くは,内科的治療によりUCを寛解期に導入したうえで,隆起もしくは発赤に注目し,同部のpit patternを観察することで内視鏡的に捉えることが可能であると考えられた.UC粘膜の生検組織診断に際しては,dysplasiaと炎症(再生)異型,UC粘膜内に発生した通常型腺腫との鑑別が問題となる.これらの鑑別には,病理学的にはp53免疫染色が有用な補助手段となりうると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?