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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

文献概要

今月の主題 colitic cancer―微細診断をめざして 主題症例

潰瘍性大腸炎に合併した直腸癌の1例

著者: 保原怜子1 外間政希1 神谷雅人1 中村祐子1 八木伸郎1 野村知抄1 西井雅俊1 大橋秀徳1 高濱和也1 渡辺真1 中野浩1 黒田誠2 家田浩男3

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部消化器内科 2藤田保健衛生大学医学部病理科 3家田病院

ページ範囲:P.660 - P.664

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要旨 患者は29歳,女性.9歳時に潰瘍性大腸炎と診断され,以後20年間下痢,血便の緩解,再燃を繰り返した.今回,1994年4月の注腸X線検査では左半結腸が著明に短縮,狭細化した左側結腸型潰瘍性大腸炎の像を示し,直腸に隆起性病変を認めた.直腸の病変は内視鏡検査で,扁平な隆起とその周囲の凹凸不整粘膜から成り,生検で分化型癌と診断された.結腸全摘標本で直腸に5.0×3.2cmの大きさの,一段と高い隆起部分と平坦に隆起した不整粘膜から成る隆起性病変を認めた.病理組織診断では,癌は隆起の表面と不整粘膜面に拡がり,一段と高い部分は,癌の粘膜下層以下の膨張性浸潤により押し上げられた所見であった.癌の組織型は高分化腺癌,癌の粘膜下の浸潤は固有筋層に達していた.リンパ節に転移は認めなかった.癌の周囲,その他の部位にdysplasiaの粘膜面を認めなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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