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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

文献概要

今月の主題 colitic cancer―微細診断をめざして 主題症例

潰瘍性大腸炎診断後早期に多発性大腸癌を認めた1例

著者: 高橋慶一1 森武生1 比島恒和2 加藤裕昭3 安野正道1 小池盛雄2

所属機関: 1東京都立駒込病院外科 2東京都立駒込病院病理科 3東京都立駒込病院内視鏡科

ページ範囲:P.665 - P.670

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要旨 潰瘍性大腸炎診断後6か月で大腸癌を認めた症例を経験した.患者は66歳,女性で,貧血を主訴に来院し,全結腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断され,6か月後の大腸内視鏡検査で多発性ポリープを指摘され,手術を施行した.切除標本では3個のm癌と,3個の腺腫内癌,および24個の腺腫を認めた.潰瘍性大腸炎に伴う大腸癌は全結腸炎型で10年以上経過例に多いとされるが,本症例は6か月で癌を認めた点で珍しい.また,多数の腺腫の中に癌を認めたが,いずれもm癌であった.潰瘍性大腸炎においては観察期間が短くても,腺腫を認める場合は癌病変の存在を念頭に置き,詳細に頻繁に観察をし,生検で癌と診断されたら,早急に手術を含めた積極的な治療を施行すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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