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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

今月の主題 colitic cancer―微細診断をめざして

主題症例

4型大腸癌を合併した潰瘍性大腸炎の1例

著者: 為我井芳郎1 佐藤薫隆1 森越栄太1 田尻稲穂2 丸山雅一3

所属機関: 1佼成病院外科 2和泉胃腸科 3癌研究会附属病院検診センター

ページ範囲:P.677 - P.683

文献概要

要旨 患者は43歳,女性.20歳時に潰瘍性大腸炎を指摘された.1989年9月初め,下痢,血便を認めた.注腸X線検査で全大腸型潰瘍性大腸炎およびS状・下行結腸部の狭窄と辺縁不整像を指摘され,10月3日入院.内視鏡検査では,狭窄部に発赤した不整形陥凹を認め,その周囲に白色調扁平な領域を伴っていた.生検で高分化腺癌の診断を得,11月15日手術を行った.切除標本の病理学的検索では大きさ11.3×6.7cm,深達度sの4型の高分化腺癌であった.内視鏡像と組織像との対比では,粘膜内癌巣は発赤した不整形陥凹部と,その周囲の褪色と一部びらんを伴う白色調扁平な領域に一致した.病理学的検索では,発赤した陥凹部の組織像は高~中分化腺癌で,周囲の白色調扁平部分はRiddellのhigh-rade dysplasiaに相当する高分化腺癌であった.以上から,X線・内視鏡診断上ならびに癌の発育進展のうえで興味ある症例と考え報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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