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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻5号

1995年04月発行

文献概要

研究

直腸カルチノイド診断における超音波内視鏡検査の有用性と治療方針

著者: 斉藤公男1 斉藤典男1 更科廣實1 布村正夫1 幸田圭史1 滝口伸浩1 下山真彦1 佐野隆久1 豊沢忠1 柳沢真司1 中島伸之1 瀬崎徳久2 渡辺敏3

所属機関: 1千葉大学医学部第1外科 2千葉県がんセンター消化器内科 3千葉県がんセンター外科

ページ範囲:P.715 - P.721

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要旨 直腸カルチノイド15例(sm:13例,mp:2例)を経験し,超音波内視鏡(EUS)の有用性につき検討した.術前にEUSを用いて壁深達度診断およびリンパ節転移の有無について検索しえたのは12例(sm:10例,mp:2例)であり,長径4mmのsm症例の1例は描出不能であったが,他のsm症例は全例SMと術前診断され,mpの2例はMPとA1以深に診断されていた.直腸カルチノイドは,mp以深に浸潤するとリンパ節転移,遠隔転移を起こしやすいため,mp以深の壁深達度かどうかの判定が,治療方針決定に重要であった.また,sm症例の中でも浸潤増殖範囲がsm浅層の場合は内視鏡治療で治癒が望め,sm層に深く浸潤する場合は外科的治療が必要である.EUSによる術前壁深達度診断は正診率が高く,7.5MHz-EUSと1.2MHz-EUSを用いることによりsm層内における浸潤の程度や増殖形態も推測可能であった.これらの結果から,EUS診断は直腸カルチノイドの治療法選択に有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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