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文献詳細

雑誌文献

胃と腸30巻6号

1995年05月発行

文献概要

今月の主題 粘膜下腫瘍の形態を示した胃癌 主題

粘膜下腫瘍の形態を示した胃癌のX線診断

著者: 武本憲重1 馬場保昌1 加来幸生1 竹腰隆男1 丸山雅一1 高橋孝2 加藤洋3 柳沢昭夫3

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院外科 3癌研究会附属病院研究所病理部

ページ範囲:P.759 - P.768

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要旨 粘膜下腫瘍(SMT)様所見を示した胃癌をX線診断の立場から検討した.①胃癌2,816例(1982~1991年)に対する頻度は7例(O.25%)であった.②早期癌3例,進行癌4例であった.癌組織型は管状腺癌(中分化型)2例と低分化腺癌5例(非充実型2例,充実型3例)であった.管状腺癌(中分化型2例)と低分化腺癌(充実型3例)の5例は,粘膜下層浸潤部に中等度~高度なリンパ球増生を伴っていた.③組織割面所見とX線診断の検討結果は以下のごとくであった.Type1(2例):明らかな潰瘍形成がないもので,特殊な粘膜下進展を示し,悪性リンパ腫の早期隆起型との鑑別が極めて困難であった.他の1例は管状腺癌で中間帯領域に存在し,SMTとの鑑別は困難であった.Type2(3例):潰瘍部が隆起部より明らかに小さいものは,ニッシェの形が不整で陰影に濃淡の差が認められ,胃癌の診断は容易であった。Type3(2例):隆起部より潰瘍部が大きいものは,いずれも幽門部後壁に存在し,正面像では悪性リンパ腫の潰瘍限局型との鑑別は困難であった.他部位では側面像が参考になると思われた.④7例中1例は追跡調査ができなかったが,3年以内死亡1例,5年生存3例(最長10年6か月),他の2例は3年6か月生存中である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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